個人間の借金で関係が悪化し、取り立ても過激に……どう対処すべき?

2020年06月19日
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個人間の借金で関係が悪化し、取り立ても過激に……どう対処すべき?

借金は人を変えてしまうものであり、仕事や友人を失う原因になりかねない恐ろしいものと言えます。軽い気持ちで友人からお金を借りてその返済が滞ると、友人との関係が悪化してしまう可能性があります。場合によっては、友人から厳しい取り立てにあってしまうこともあるかもしれません。

そのようなとき、友人との関係を維持し、円満に取り立てに対応するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。ここでは、個人間で借金の取り立てがあった場合にどのように対処すべきかについて、川越オフィスの弁護士が解説します。

1、個人間の借金で適用される法律

  1. (1)利息

    個人間の借金については、利息制限法が適用されます。したがって、元本の額が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%を超える利息を取ることはできず、超過利息部分は無効となります。

    なお、出資法も利息について定めており、個人間の利息について109.5%までと定めていて、違反する場合には刑事罰が科されます。しかしながら、民事的にそもそも利息制限法を超えた利息を取ると超過部分は無効とされますので、個人間における借金の利息については、実質的には利息制限法が適用されると考えればよいでしょう。

  2. (2)時効

    個人間の借金に適用される時効は、これまで、民法の規定に従い10年でしたが、民法改正により、令和2年4月1日以降の借金については、通常5年となります。時効は、借金を一部でも返済すると、その時点が新たな時効の起算点となります。したがって、催促を受け継続的にお金を一部でも返している間は、時効を迎えることはありません。その他、訴訟の提起や支払督促などがあった場合や、差押えが行われた場合、一定期間時効は完成しません。

    時効が完成した場合でも、その効果を確定的に主張するためには、時効の完成について相手に通知する必要がありますこれを時効の援用といいます。友人からお金を借りている場合に、時効の完成を主張するのであれば、その友人との関係が修復不可能なほど悪化することは覚悟したほうがよいでしょう。

    なお、時効が完成すれば借金を返済する義務はなくなりますが、時効は債権者(お金を貸している人)側の行為によって完成を妨げることができるため、簡単に成立することはほとんどないと言えます。

2、どのような行為が違法な取り立て?

  1. (1)本人への取り立て

    一般人の取り立ては、貸金業者による取り立てほどには規制がありません。裁判や強制執行などの裁判所の手続きを利用しての取り立てだけでなく、電話や面会、内容証明による書類の送付などの取り立て方法も、どれも基本的には合法です。ただし、返済を求める友人から暴行や脅迫をされた場合、暴行罪や恐喝罪といった犯罪にあたる可能性があるので、すぐに警察に相談しましょう。

    また、貸金業者の取り立てには貸金業法上の規制があり、たとえば弁護士が付いたら取り立てをしてはいけないなどの規制がありますが、これは個人間の取り立てには適用がないので注意しましょう。

    なお、取り立てに関して違法行為をしてしまう可能性があるのは、債権者側のみではありません。
    債務者(借りている人)側も、財産を隠して借金の返済から逃れようとすると強制執行妨害罪という犯罪にあたる可能性がありますし、故意に自己の財産(不動産など)を処分して債権者が正当な弁済を受けられないようにすると、詐害行為として処分行為を取り消されてしまう可能性があります

    その他、違法とまでは言えないケースや判断が難しいケースもあるため、そのようなときは弁護士などの専門家に相談しましょう。

  2. (2)会社や親戚への取り立て

    債務者本人への取り立てではなく、会社や親戚に電話をしたり、オフィスや家を訪問したりするのは、相手に支払義務がないので、かなりグレーゾーンな行為と言えます。債務者ではない方を精神的に追い詰めるようなことをされた場合には、悪質性が高いと判断され、面談強要禁止の仮処分や架電禁止の仮処分といった決定を裁判所が出すことがあります。
    そうなった場合、相手方は違反する度に金銭を支払う義務を負うことになります。

3、解決する方法

  1. (1)貸主との話し合いによる解決

    円満な解決を目指す場合、まずは、貸主との話し合いにより、可能な範囲で返済計画を立て直し、実行していくことが一番よい方法と言えるでしょう。

    このときに重要となるのが、契約書や借用書です。友人との間の借金の場合は、これらの書面を作成せずに借金をすることが多いと思います。しかし、借金に関連するトラブルが生じた場合に円満な解決を目指すためには、両者で借金の額や金利について事前に書面で合意しておくことが必要です。

    友人間などの個人的な貸し借りは、比較的交渉がしやすいという側面があります。取り立てが過激化している場合なども、弁護士などの専門家に第三者として間に入ってもらうことで、冷静に話し合うことが可能になることも多いでしょう。過激な取り立てをやめてもらい、現実的な返済計画に沿って、あらためて完済を目指せるようになる可能性があります。

  2. (2)個人再生や自己破産による解決

    借金の返済をすることができない場合、最終的には、個人再生や自己破産を選択せざるを得ないでしょう。借金の額にもよりますが、個人再生であれば借りていた借金の金額が5分の1程度になり、自己破産では借りていたお金は多くの場合帳消しとなります

    これらの債務整理は、個人間の債務を含めた全ての借り入れが手続きの対象となります。友人からの借金についても減額されたり、返さなくてよいとされることになりますから、友人との関係では円満な解決とは言い難いかもしれません。せめて、手続きに入る前に、他に選択肢がなくなってしまったということを説明しておくことが望ましいと言えるでしょう。

4、弁護士へ相談するメリット

個人間の借金の解決について弁護士に依頼することには、次のようなさまざまなメリットがあります。

● 第三者として間に入って交渉をしてくれる
個人間の借金は、お金を貸している側が感情的になっている場合も多く、借りている側が交渉しようとしても思うように話し合いができないことがよくあります。そのようなとき、前述したように、弁護士に間に入ってもらうだけでも、冷静な話し合いができる可能性が高くなります。

返済計画についても、弁護士と相談して計画を立てたということを説明することで、計画についての理解を得やすくなったり、返済していく意思があることについても信じてもらいやすくなったりするでしょう。「自分のお金は返ってこないんじゃないだろうか」という、貸している側の不安を取り除くことが、円満な借金問題の解決に重要です。

● 必要な書類作成や裁判所とのやり取りを代行してもらえる
債務整理をする場合、書類・資料の収集や書類作成が必要になります。また、債権者とのやり取りも必要になりますが、弁護士に依頼することでこれらに対応してくれるので安心です。

● 相談相手がいることで精神的に楽になる
借金問題を抱えていると、将来への不安が大きく非常にストレスがかかりますが、弁護士に相談していると、専門家が助けてくれるという安心感を得られたり将来の見通しを立てられるようになったりします精神的に楽になるのも見逃せないメリットです

5、まとめ

個人間の借金についてトラブルを抱えている場合には、貸主との関係を可能な限り維持していくためには、円満に解決していく必要があります。友人から取り立てを受けているが対処方法がわからない、友人からの借金返済が滞り訴えられそうなどお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスまでご相談ください。川越オフィスの弁護士が、個人間における借金の取り立てへの対処に全力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています