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キャンセルした旅行、ホテル代や乗り物代が返金されない場合の対応

2021年12月14日
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キャンセルした旅行、ホテル代や乗り物代が返金されない場合の対応

新型コロナウイルスが流行している最中、埼玉県は川越市を含む合計13市町を「まん延防止等重点措置」の対象区域に追加しました。令和3年10月の時点ではまん延防止措置等重点措置は解除されていますが、コロナウイルスやその他の感染症の流行の状況によっては、いつまた緊急事態宣言が発令され、旅行が制限されることになるかわかりません。

新型コロナウイルス対策のためのさまざまな措置が原因である場合にせよ、または個人的な事情にせよ、「前もって予約をしていた旅行をキャンセルせざるを得なくなった」という事態になる方は多々おられます。すでにホテル代や乗り物代を支払っている場合には、旅行をキャンセルする際に、代金の返金を求めることになります。しかし、旅行業者によっては、さまざまな理由をつけて返金を拒むことがあるのです。

本コラムでは、旅行をキャンセルした際にホテル代や乗り物代が返金されない場合の対応について、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスの弁護士が解説します。

1、旅行の中止でキャンセルしたホテル代や乗り物代について、返金請求しても戻ってこない場合がある?

当日や前日といった旅行日直前でのキャンセルについて、「すでに支払った代金が戻ってこないことには仕方がないことだ」と考える人は多いでしょう。
では、数週間前に旅行をキャンセルしたにもかかわらず、すでに支払った旅行代金が全く返金されなかったり、高額なキャンセル料を請求されたりすることはあるのでしょうか?
以下では、旅行契約とキャンセル料の基本的な関係等について説明します。

  1. (1)旅行契約の成立時期とキャンセル料の発生について

    旅行の申し込みを取り消した場合に、キャンセル料が発生するかどうかは、「旅行契約がいつ成立したか」によって異なってきます。そもそも旅行契約が成立していない段階であれば、たとえ旅行契約をキャンセルしたとしても、旅行業者がキャンセル料を請求する根拠がないためです。
    民法の原則では、「当事者双方が合意をした時点」で、契約が成立することになります。しかし、旅行契約の場合には、約款によってこの原則が修正されているのです。
    たとえば、ツアーなどのパック旅行を申し込む場合には、申込書の記入・提出とともに申込金の支払いが必要とされており、契約の成立には、当事者間の合意だけでなく、提出された申込金の受理が必要とされています(募集型約款8条1項)。
    したがって、申込金を支払っていない段階では、いまだ旅行契約が成立しているとはいえないため、キャンセル料を請求されたとしても支払う必要はないのです

  2. (2)キャンセル料の支払いについて

    旅行をキャンセルした場合にキャンセル料を支払わなければならないかどうかや支払済みの代金の返金を受けることができるかどうかは、旅行業者との契約内容によって決まることになります。

2、代金が返金されない場合は約款や利用規約を確認

旅行をキャンセルしたにもかかわらず代金が返金されない場合には、約款や利用規約を見て、どのような契約内容であったかを確認しましょう。その上で、代金の返金を拒絶する旅行業者の対応が正当なものであるかを判断することになります。

  1. (1)キャンセル料と消費者契約法9条1号

    旅行者が旅行契約を解除するにあたってキャンセル料を支払わなければならないか否かは、旅行業者との旅行契約の内容によって決まることになります。しかし、旅行契約も消費者である旅行者と事業者である旅行業者との間に締結された消費者契約ですので、消費者契約法の規制に服することになります。
    キャンセル料に関する契約条項については、消費者契約法9条1号の消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項の無効に関する規定が関係してきます。
    そして、キャンセル料の規定が消費者契約法9条1号に適合しているかどうかについては、旅行者による旅行契約の解除によって旅行業者に生じる「平均的な損害」をどのように考えるかが問題となるのです。
    裁判所は、「平均的な損害」について、キャンセルの理由、時期に従い事業者に生ずべき損害の内容、損害回避の可能性等に照らして判断すべきとしています。
    その結果、平均的な損害を超えていると判断される場合には、その部分については代金の返還を求めることが可能となる場合もあるでしょう。

  2. (2)海外の業者と契約をした場合には注意が必要

    日本の旅行業者と契約をした場合には、日本の法律等に従って対応することができますので、消費者契約法によって「平均的な損害」を超えるキャンセル料については、支払いを拒むことやすでに支払った旅行代金の返還を求めることも可能な場合があります。
    しかし、旅行契約を締結したのが海外の旅行会社、航空会社であった場合には、利用規約や約款などに「外国の法律が適用される」と記載されていることがあります。そのような場合には、日本の法律ではなく外国の法律に従って処理することになりますので、場合によっては、旅行をキャンセルしたことによる代金の返還を求めることができないこともあります。
    海外の旅行業者との間では、キャンセル料をめぐるトラブルも多く発生していますので、海外旅行などを申し込む際には、利用規約や約款などをよく確認したうえで、契約を申し込むことが最善です。

3、返金されるはずのお金が戻ってこない場合は、消費生活センターなどに相談

旅行をキャンセルして本来返金されるはずのお金が戻ってこないという場合には、以下の機関に相談をしてみることをおすすめします。

  1. (1)消費生活センターへの相談

    全国各地の消費生活センターでは、電話や面談による消費者相談を行っています。
    トラブルの相手方が旅行業者以外の交通機関、航空会社、ホテル、観光施設などの場合であっても無料で相談に乗ってもらうことができますので、キャンセル料などのトラブルが生じた場合には、相談をしてみるとよいでしょう。
    場合によっては、消費生活センターがトラブルの相手方の事業者と話し合いの調整等をすすめてくれることもあります。

  2. (2)国民生活センターへの相談

    国民生活センターは、消費生活センターと同様に、消費者と事業者との間のトラブルについて無料で相談に応じてくれる機関です。両者の違いは、国民生活センターは国が管轄する機関である一方で、消費生活センターは地方が管轄する機関である、という点です。

    どちらに相談をしても問題ないですが、電話ではなく面談で相談をしようと考えている場合には、地元の消費生活センターに相談したほうが便利です。

  3. (3)旅行業協会への相談

    日本旅行業協会と全国旅行業協会は、旅行者からの苦情の解決業務を行っており、国内の旅行業者とのトラブルについては、無料で相談に応じてくれます。
    相談内容によっては、旅行業者との解決に向けたあっせんを行ってくれますので、日本旅行業協会または全国旅行業協会の会員である旅行業者とのトラブルである場合には、一定の解決に至る可能性が高いといえるのです。
    しかし、旅行業協会にできる対応は、あくまでも解決のための助言や援助をするにとどまります。解決案の受け入れを強制することや、弁護士のように消費者の代理人として交渉することまではできません。

4、返金されないお金を請求するならベリーベストに相談

旅行会社との間で旅行キャンセルに伴うキャンセル料の請求や旅行代金の返金に関してトラブルが生じている場合には、ベリーベスト法律事務所川越オフィスにご相談ください。

旅行会社と個人とでは交渉力に差があることが多く、本人だけで返金交渉をしたとしても、満足いく結果が得られる可能性は低いといえます。しかし、弁護士であれば、本人の代理人として旅行会社と交渉を行うことができます。その際には、約款や利用規約だけでなく消費者契約法なども考慮して、法的見地から交渉をすすめることができます。
予定日の数週間や数カ月前にキャンセルをしたのであれば、全額または大部分の代金を返金してもらえる可能性があります。自分だけで対応して泣き寝入りすることがないように、ぜひ、弁護士に相談してください

5、まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大防止措置や個人的な事情から、予定していた国内または海外旅行をキャンセルしなければならない状況になる方は多々おられます。
旅行キャンセルに伴うキャンセル料については、基本的には、旅行会社との契約内容に従って処理していくことになります。また、場合によっては旅行保険により補填される可能性もあるのです。
旅行会社の対応に納得ができないという場合には、弁護士に相談することも有効な手段となります。その際には、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスにお気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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