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未成年の息子が犯罪者になってしまったら親の責任はどこまで問われる?

2020年05月27日
  • 少年事件
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未成年の息子が犯罪者になってしまったら親の責任はどこまで問われる?

埼玉県警が発行している令和元年版「少年非行白書」によると、川越市における、刑法等に規定する罪(交通関係を除く)を犯した(犯罪に触れる行為をした場合も含みます)刑法犯少年の数は、48人でした。この数は、埼玉県内の市の中で7番目に多い数になります。

典型的な犯罪の例として、未成年者が万引きをすることなどが思い浮かぶかもしれません。近年では「オレオレ詐欺」の現金受け取りなど、本人が知らないうちに罪を犯してしまうケースもあります。
親であっても、子どもがある程度大きくなってしまうと、すべての行動を把握することは難しくなってくるでしょう。

今回は、未成年者の子どもが罪を犯した場合、親の責任はどこまであるのか、を中心に川越オフィスの弁護士が解説します。

1、未成年者が逮捕されたらどうなる?

逮捕された者が未成年者であっても、捜査段階では少年法に特別の定めがない限り刑事訴訟法が適用されます(少年法40条)。したがって、家庭裁判所に送致されるまでの手続きは成人の刑事事件とほぼ同様です。もっとも、少年法上、身体拘束について成人の場合と異なる規定が設けられている点や、すべての事件が家庭裁判所に送られる点などが異なります。これは、未成年者は精神的に未熟で発展段階にあるため成人と同様に非難しその責任を追及することが適当でないこと、成人に比べてなお豊かな教育的可能性を持っていることから、少年法が、原則として、処罰ではなく教育的手段によってその非行性を矯正し更生を図ることを目的としているからです。そのため、少年事件については、少年の再非行防止のために、教育的働きかけを行うことを使命とする家庭裁判所の調査や判断が尊重されることになっています。家庭裁判所は、少年事件を受理すると、これについて調査(少年法8条1項)を開始することとなります。

※ 少年法における「少年」とは、20歳に満たない者をいいます(少年法2条1項)。

逮捕後の手続きの流れは、例外もありますが、大まかには次のとおりです。

  1. ①逮捕・取り調べ
  2. ②検察官送致
  3. ③勾留または勾留に代わる観護措置
  4. ④家庭裁判所送致


  1. (1)逮捕・取り調べ

    未成年者が警察官などによって逮捕された場合、罰金以下の刑だけが規定されているような軽い事件(少年法41条)以外の事件は、48時間以内に、検察官に身柄が送致されます(刑事訴訟法203条1項)。罰金以下の刑だけが規定されているような軽い事件については、警察官から直接家庭裁判所に送致されます。

  2. (2)検察官送致

    罰金以下の刑だけが規定されているような軽い事件以外の事件については、警察官から検察官に身柄が送致され、検察官による取り調べを受けます。検察官は、送致から24時間以内に、引き続き身柄を拘束するか、直ちに釈放するのかを判断します(刑事訴訟法205条1項)。
    逮捕されてから引き続きの身柄拘束または釈放が決定するまでの間は、家族ですら面会することができません。
    検察官が、引き続き身柄拘束の必要があると判断した場合、裁判所へ勾留請求、または勾留に代わる観護措置の請求を行います(少年法43条1項)。

    この勾留または勾留に代わる観護措置の請求が行われず、家庭裁判所へ送致される場合もあります。

  3. (3)勾留または勾留に代わる観護措置

    裁判官が勾留決定をした場合、検察官が勾留を請求した日から10日間、勾留が延長された場合には最大20日間身柄を拘束されてしまいます(刑事訴訟法208条)。一方、勾留に代わる観護措置がとられる場合で、少年鑑別所収容の観護措置によるときは(少年法43条1項、同法17条1項2号)、収容期間は、検察官が請求した日から10日間で、延長は認められていません(少年法44条3項)。なお、勾留に代わる観護措置には、少年鑑別所収容の観護措置の他に、家庭裁判所調査官による観護の方法もあります(少年法43条1項、同法17条1項1号)。
    心身ともに未熟で発達途上にある少年にとって、10日間ないし20日間の身体拘束は、成人以上に重大な悪影響を受けるおそれがあります。また、学校に通学している場合や会社で勤務している場合、非行を理由に退学になったり職場を解雇されたりしてしまうかもしれません。

  4. (4)家庭裁判所送致

    少年事件については、捜査機関による捜査の結果、犯罪の嫌疑があると判断された場合、および、犯罪の嫌疑が認められなくとも家庭裁判所の審判に付すべき事由があると判断された場合は、検察官等は、事件をすべて家庭裁判所に送致することになります(少年法41条、42条)。犯罪が軽微だからといって、成人の刑事事件のように起訴猶予(刑事訴訟法248条)等、捜査機関限りで事件を終了させることは認められていません。
    このとき、死刑、懲役または禁錮に当たる罪の事件について、家庭裁判所の調査の結果、その犯罪の内容、少年の心身の成熟度、犯罪性の程度等からみて、刑事処分が適当と認められるときは、家庭裁判所は、事件を検察官に送致します(少年法20条1項)。これは、通常、逆送と呼ばれています。

  5. (5)成人との違い

    一番大きな違いは、少年法が、処罰よりも教育による少年の改善更生を目的とし(少年法1条参照)、少年保護の専門機関である家庭裁判所に、少年に対してどのような処遇が適当かの判断を委ねる点において、刑罰を科すことで責任を追及する成人の場合と異なるということです。手続きについては、成人の場合には、勾留に代わる観護措置がない点や、家庭裁判所に送致されない点が異なります。

2、裁判はどのように進められる?

少年事件の場合、家庭裁判所が審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判が行われます(少年法21条)。審判をする前に、家庭裁判所で調査が実施されます(少年法8条1項)。家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、観護措置をとることができます(少年法17条1項)。観護措置とは、家庭裁判所が調査や審判を行うために、少年を保護することでその心情の安定や身体の安全を図る措置です。観護措置には、少年を家庭等に置いたまま、家庭裁判所調査官が随時連絡をとって少年を保護する方法と、少年を家庭から引き離して少年鑑別所に収容する方法の2種類があります(少年法17条1項)。調査の結果、審判が不要だと判断された場合は、審判は行われません(少年法19条1項)。

裁判官は、調査の結果、または審判を行ったうえで、少年に対する処分を決定します。しかし、場合によっては、いずれの処分にするかを直ちに決めることが困難な場合もあります。このような場合、おおむね3か月から4か月までを一応の目途とする相当の期間、少年を家庭裁判所調査官の観察に付することがあります。これを試験観察といい(少年法25条)、適切な処遇選択をするために必要な場合に行われます。それ以外の場合は、審判不開始(少年法19条1項)、検察官送致(少年法20条等)、保護処分(少年法24条1項)、都道府県知事または児童相談所長送致(少年法18条等)または不処分(少年法23条2項)のいずれかの決定がなされます。

不処分とは、家庭裁判所が、審判の結果、保護処分に付することができず、または保護処分に付する必要がないと認めるときになされる判断です。保護処分には、保護観察(少年法24条1項1号)、児童自立支援施設または児童養護施設送致(少年法24条1項2号)および少年院送致(少年法24条1項3号)の3種類があります。保護観察は、少年を施設に収容することなく社会の中で生活させながら、保護観察官または保護司の指導監督および補導援護(住居や職業等について援助すること)によって、少年の改善更生を図ることを目的として行う保護処分です(更生保護法49条1項・2項、同法58条)。
検察官送致(逆送)になった場合は、成人と同様に刑事裁判が行われます。

3、親の責任はどうなる?

未成年者が罪を犯した場合、その親はどのような責任を負うのでしょうか。

  1. (1)民事上の監督者責任

    未成年者が罪を犯し、その結果、他人に損害を与えた場合、その親権者である親が、監督義務者として民事上の責任を負うことがあります(民法714条)。

    未成年者に自らの行為の責任を理解する能力がなければ未成年者自身は賠償責任を負いませんが(民法712条)、未成年者を監督すべき法定の義務を負う親権者等が監督義務を怠ったと判断された場合、未成年者の代わりに損害賠償責任を負います。金銭面での責任を負うことになるのです。

    これに対して、未成年者に自らの行為の責任を理解する能力があれば、その親は責任を負わず、未成年者自身が賠償責任を負います。この責任能力が子どもに認められる境目は、一般的に12歳前後とされています。

    もっとも、裁判所は、未成年者が責任能力を有する場合であっても、当該未成年者の不法行為によって生じた損害が、その監督義務者である親の監督義務違反によって生じたといえる場合には、親も損害賠償責任を負う(民法709条)と判断しています(最判昭和49年3月22日)。

  2. (2)親がすべきこと

    子どもが捜査機関の捜査の対象になると、職場を解雇されたり学校を退学処分になったりするおそれがあります。また、自ら会社や学校を辞めてしまうこともあります。このように、子どもの更生にとって重要な社会資源を失うことになると、子どもの社会復帰が難しくなってしまいます。親は、このような事態を回避し、子どもが早期に社会復帰できるように、そして、子どもが健全に成長・発達することができるように子どもを支えてあげるべきです。子どもの意見を踏まえたうえで、子どもの成長発達にとって最善の支援は何かを検討し、その結果を子どもに伝え、できる限り納得を得たうえで支援すべきです。他方、罪を犯してしまったことについて反省を促すことも重要です。愛情のある厳しさをもって子どもに接することは、親ならではの役目といえるでしょう。

    また、少年事件の場合でも、被害回復がなされ、被害感情が緩和されたか否かが処分の内容に大きく影響することに違いはなく、近年の被害者保護の動きの中で、この点が重視される傾向にあります。つまり、被害者との間で示談が成立すれば、処分が軽くなる可能性があるのです。したがって、親は、被害者に支払う賠償金を用意する、示談成立のために弁護士に相談や依頼をするなどといったことをする必要があるでしょう。

  3. (3)子どもへの心のケア

    子どもが逮捕された場合、少なくとも逮捕から72時間以内の間は、親ですら面会することができません。しかし、警察官から取り調べを受けている状態では、子どもは心理的に不安定になっているのが通常です。
    逮捕から72時間以内に接見・面会ができるのは、弁護士だけです。弁護士を通じて親の思いを伝えたり、法的なアドバイスをしてもらったりすることが可能です。弁護士は子どもの心に寄り添った対応をしますので、心理的なケアをすることができます。

    子どもの犯罪は、心のケアが重要だといわれています。少年の非行の背景には、子どもを取り巻くさまざまな困難が存在します。一方で、子どもは成長発達の途上にあります。適切な支援を行うことで子どもの抱える困難を取り除くことができれば、その子どもは力強く成長することができます。専門家への相談などを通して、子ども自身が抱える困難を自ら乗り越えられるよう、必要な援助をし、子どもの再犯を防止することが大切です。

4、弁護士には早めに相談を

子どもの社会復帰を早期に実現させるためには、子どもに対する心のケアが重要です。そのためには、子どもと早期に接見・面会をし、子どもに寄り添うことが必要です。また、被害者との間で示談に向けた交渉を行うことも重要です。こうした行動は、弁護士にしかできません。

刑事ドラマなどを見ていると、大人が逮捕される場面で「弁護士を呼んでください」というセリフを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、子どもの場合は、弁護士を依頼するという発想自体がないかもしれません。こうしたとき、親が代わりに対応してあげる必要があるのです。

困ったときは、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

5、まとめ

未成年者が罪を犯してしまった場合、そこから立ち直るためには、子どもの心に寄り添ってあげる存在が重要になるといわれています。不安な状況の中、親がこれだけしてくれた、ということを、弁護士を通じて伝えるだけでも、子どもにとって大きな支えになるはずです。

また、親は、罪を犯してしまった子どもについて監督義務を果たしていなかったと判断されると、子どもの代わりに損害賠償責任を負うことがあります。

未成年者の子どもが罪を犯して逮捕されてしまいお困りの方は、ベリーベスト川越オフィスまでお気軽にご連絡ください。川越オフィスの弁護士がお子さまのために力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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