義両親の介入を理由に離婚できる? 離婚条件や必要な準備とは
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結婚をしたら、相手の両親とも付き合いをしなければいけません。ほどよい距離感であれば夫婦生活にも影響はないでしょう。
しかし、義両親の介入がひどい場合には夫婦関係が悪化してしまう可能性もあり、状況によっては離婚を検討することもあるでしょう。
本コラムでは、義両親の介入によって夫婦仲が悪化した場合の離婚について、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスの弁護士が解説します。
1、夫婦間に義両親が介入してくる5つのケース
結婚する際には、お互いに協力しながら幸せな夫婦生活を送ることを期待していることが一般的でしょう。長い結婚生活においては、夫婦のコミュニケーションが重要となります。
しかし、以下のように、夫婦の問題について、義両親が過度に介入してくることがあるのです。
- 「子どもはいつなの?」、「子どもの名前は○○にしたい」など、子どものことに介入してくる
- 子どもの教育方針について、「これはダメ」「これはよい」などと介入してくる
- 夫婦げんかをしているときに、配偶者の肩を持つかたちで介入してくる
- 夫婦間で離婚の話を進めていたら、親権のことなどで次第に義両親が介入してきて複雑化する
- 嫁としてちゃんとなっていないから、息子と離婚しろと義両親が強要してくる(親害)
親が夫婦の離婚を勝手に決めてしまったり、離婚を強く迫ったりするなどの過干渉は、俗に「親害」といいます。
義両親の過度な介入や過干渉のために夫婦生活に嫌気を起こしてしまい、離婚を考える方もいます。
2、離婚にはどんな方法がある? 離婚事由とは?
以下では、離婚の方法や、義両親の介入が裁判において離婚の理由として認められるかについて解説します。
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(1)離婚の方法
離婚の方法には、主に、以下の3つの方法があります。
① 協議離婚
協議離婚とは、夫婦の話し合いによって離婚をする方法です。
夫婦の話し合いによって離婚の合意が成立した場合には、離婚届に記入をして、市区町村役場に離婚届を提出すれば離婚は成立します。
義両親が離婚問題に介入してきたとしても、離婚をするかどうかは夫婦の問題であるため、お互いに離婚に合意しているのであれば協議離婚によって離婚をすることができます。
② 調停離婚
調停離婚とは、家庭裁判所の離婚調停によって離婚の合意をし、離婚をする方法です。
夫婦の話し合いによる協議離婚が難しい場合には、調停離婚によって離婚を目指すことになります。
調停は、家庭裁判所の調停委員および裁判官を除き、当事者以外は話し合いに参加することはできません。
そのため、義両親が離婚に介入してきて夫婦の話し合いが進まないという場合には、離婚調停を選択することによって、スムーズに話し合いを進めることが可能になります。
ただし、配偶者が「親に相談をしなければ離婚を決められない」などといっている場合には、調停離婚でも離婚の成立が難しくなるでしょう。
③ 裁判離婚
裁判離婚とは、裁判官に離婚の可否を判断してもらう方法です。
裁判離婚を選択すれば、離婚の判断は裁判官がすることになるため、義両親の介入を回避しながら離婚を進めることができます。
ただし、裁判離婚を成立させるためには、次に説明する法定離婚事由が必要になります。 -
(2)裁判離婚に必要な法定離婚事由とは
裁判離婚をするためには、以下のいずれかの法定離婚事由が必要です。
- 配偶者の不貞行為
- 配偶者からの悪意の遺棄
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
義理の両親の介入を理由に離婚をする場合には、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかがポイントになります。
離婚は、あくまでも夫婦間の問題であるため、義両親の介入自体は離婚の直接的な理由にはなりません。
しかし、義両親が過度な介入をしてくるにもかかわらず、配偶者が守ってくれなかったり、義両親と一緒に責め立ててきたりするなどの事情がある場合には、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」が認められる可能性があります。
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3、離婚を切り出す前に準備すべきこと
配偶者との離婚を検討されている方は、以下のような準備を進めていくとよいでしょう。
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(1)希望する離婚条件を考える
離婚をする際に取り決める条件には、親権のみならず、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割などもあります。
離婚の話し合いをする前に、自分がどのような条件での離婚を希望するのかを明確にしておけば、配偶者との話し合いを適切に進めやすくなります。
とくに義両親の介入を理由に離婚をする場合には、離婚条件の取り決めの際にもいろいろと口出ししてくることが考えられます。
義両親の言葉に負けて不利な条件で離婚をしないようにするためにも、希望する離婚条件を事前に考えておくことが大切です。 -
(2)離婚後の住まいを確保する
離婚をすれば、夫婦は別々に生活をすることになります。
また、義両親の介入がある場合には、離婚前に別居をした方が夫婦のみで冷静に話し合いができる可能性もあります。
したがって、離婚に向けての準備を始めたら、別居後・離婚後の住まいはできるだけ早く確保しておきましょう。 -
(3)離婚後の収入を確保する
離婚によって夫婦は他人同士になるため、離婚後は生活費の援助を受けることができません。
とくに専業主婦の方が離婚をする場合には、離婚後の生活費を確保するためにも、仕事探しを進めなければならない場合があります。
経済的な不安があると、離婚に向けて積極的に踏み出すことは難しくなります。
離婚後に必要な生活費を計算しながら、仕事探しや当面の生活費の確保などを進めていきましょう。 -
(4)離婚後に必要になる手続きを整理する
離婚をした後には引っ越しによる住所変更、姓の変更による名義変更、子どもの転園・転校、子どもの戸籍、公的支援制度の申し込みなど、さまざまな手続きをしなければなりません。
離婚後に慌てることがないよう、離婚前から必要になる手続きをリストアップしていくようにしましょう。
4、離婚を決意したときに弁護士に相談するメリット
離婚を進めるうえで、弁護士に相談することで以下のようなメリットが得られます。
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(1)離婚の可否を判断できる
配偶者が離婚に応じてくれない場合には、最終的には離婚裁判によって決着をつける必要がありますが、そのためには法定離婚事由に該当する事情が必要になります。
義両親の介入は、夫婦の直接の問題ではないため、それ自体を理由に離婚をすることは難しいケースがあります。
このような場合には、義両親の介入によってどのような影響が生じているのかを弁護士に相談することによって、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかを判断することができます。 -
(2)義両親の介入を排除して話し合いを進められる可能性がある
夫婦間で話し合おうとしても、義両親が離婚条件に口を出したり、話し合いに同席したりするなどして、問題が複雑化してしまうことがあります。
弁護士に依頼をすれば、弁護士が離婚の話し合いの窓口となります。
それまで過度に介入してきた義両親も、相手が弁護士となると、離婚問題への介入を控える可能性があるでしょう。これによって話し合いがスムーズに進むことが期待できます。 -
(3)より有利な条件で離婚できる可能性が高くなる
離婚をする際には、親権のみならず、養育費、財産分与、慰謝料などの離婚条件も同時に決めることが多いです。
義両親が介入してくるような状況では、義両親の言葉に負けて不利な条件で離婚をしてしまうリスクがあります。
弁護士であれば、義両親が介入してきたとしても、適正な離婚条件で離婚できるように粘り強く交渉を進めることができます。
少しでも有利な条件で離婚をしたいという場合には、弁護士にご相談ください。
5、まとめ
夫婦の問題に義両親が過度に介入してくるような結婚生活を過ごしていると、夫婦仲も悪化してしまい、離婚を検討する場合もあるでしょう。
そのような場合には、専門家である弁護士に相談して、義両親の介入が法定離婚事由にあたるかどうかを見極めることが大切です。
また、弁護士に依頼することで、夫婦間の交渉に義両親が介入してきた場合にも対処でき、有利な条件で離婚できる可能性が高まります。
離婚問題でお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスまでお気軽にご相談ください。
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