配偶者の不倫を確信! 不貞行為の証拠の種類と集め方は?
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平成27年9月、埼玉県川越市在住の巡査部長が殺人と住居侵入の疑いで逮捕されました。妻子と不倫相手との二重生活の末、経済的に困窮し、侵入先の住民を殺害。盗んだ金銭は借金返済や不倫相手との旅行にあてたと見られています。
このような惨劇に発展するケースは極めてまれですが、不倫問題を抱えているご夫婦が社会の中に一定数存在することは事実です。
もし配偶者の不倫を確信したら、真偽をはっきりさせるためにも証拠をつかむ必要があります。不貞行為が確かに存在するのであれば、慰謝料請求も可能となります。そこで今回は、配偶者の不倫が疑われる場合の「証拠」に焦点をあて、証拠の種類や証拠集めの方法を解説します。
1、不貞行為はどこから?
不貞行為をすると、他方配偶者に対する貞操義務違反が成立します。そのため、不貞行為をされた側は、不貞行為をした有責配偶者と不貞相手に対して慰謝料を請求することができます。さらに、不貞行為をされた側が離婚すると決意すれば、たとえ不貞行為をした本人が離婚に合意しなくても、一方的に離婚できる理由となります。
では、どこからが法律上の不貞行為になるのでしょうか。
「不貞行為」とは、「配偶者のある者が、配偶者以外の異性と自由な意思で性的関係を持つこと」、具体的には、肉体関係を伴う交際をしていることを指します。
たとえば、毎日LINEのやり取りをしたり、何度も一緒に外出したりしていても、肉体関係がなければ不貞行為に該当せず、原則として慰謝料請求を行うことはできません。また、キスや胸を触る行為だけというケースも、法律上は不貞行為には該当しないと考えたほうがよいでしょう。
つまり、原則として、肉体関係を伴う交際をしていたという証拠がなければ、不貞を理由とした離婚や慰謝料請求は難しくなるといえるでしょう。
2、プラトニック不倫もある?
前述のとおり、不貞行為を根拠に、慰謝料請求や離婚を求めるためには、不倫相手との肉体関係があったという証拠が必要です。ところが、平成26年3月、裁判で肉体関係があったとまでは認められないと判断されたにもかかわらず、大阪地方裁判所が被告である浮気相手に44万円の慰謝料支払いを命じる判決を下したことが報道され、「プラトニック不倫判決」として話題になりました。
このように、特定の相手と繰り返し「交際」しており、これによって婚姻が破たんしたと認められるケースなどの場合には、たとえ肉体関係がなかったとしても、一定の慰謝料請求が認められる可能性があります。
3、不貞行為の証拠となるものは?
前述のとおり、不貞行為があったことを裁判所に認めてもらうためには、証拠が必要です。まずは証拠となり得るものとその有効性について解説します。
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(1)ふたりでいる写真
写真や画像といっても、その内容はさまざまです。たとえば、ふたりで腕を組んで歩いている写真は、配偶者の「浮気」を追及する切り口になるかもしれませんが、肉体関係までをも証明することは困難です。一方、ラブホテルにふたりで入る写真、もしくは、夜から朝にかけてお互いの家を行き来している写真などは、肉体関係があったと推測できるため、不貞行為があったとする証拠となり得ます。
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(2)メール、LINE
LINEが流出して不倫が発覚した芸能人のニュースが話題になったこともあり、メールやLINEが決定的な証拠になると思う方は多いかもしれません。しかし、メールやLINEが不貞行為が存在する証拠として認められるためには、ふたりの裸姿が撮影された動画や写真が添付されている、肉体関係を推測できる内容が書かれていたなど、かなり具体的な内容が必要とされます。
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(3)通話履歴
頻繁に通話した履歴があれば、ふたりの親密ぶりは推測できますが、具体的に何を話したのかは明らかではありませんので不貞の証拠にはなりません。「仕事の話」「相談に乗っていた」などと言われてしまえばそれまでです。一方、性的内容に言及した録音などがあれば証拠として採用されやすくなります。
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(4)ホテルの領収書
シティホテルに宿泊した際の領収書だけでは証拠になりません。ダブルルームの領収書だったとしても「広い部屋でくつろぎたかった」と言い逃れされる可能性があります。
反対に、ラブホテルの領収書が何枚もでてきたような場合は十分な証拠となり得ます。ただし、「配偶者が不貞していた証拠」にはなりますが、一緒に泊まった相手まで特定することはできません。よって、不貞相手に慰謝料を請求することは難しいでしょう。 -
(5)そのほか
このほかにも、次のような証拠を積み重ねることによって不貞行為が認められる場合もあります。
- FacebookやInstagramなどの投稿
- 不貞相手からの手紙、贈り物
- ホテルを利用した際のクレジットカードの明細書
- カーナビやGPSの記録
- 友人や知人の証言
4、配偶者や不貞相手から自白を得る際の注意点
配偶者や不貞相手の自白は証拠となり得ますが、同時に注意も必要です。
謝罪の言葉を口にしたり、不倫を認める発言をしたりしても、後で「そんなこと言っていない」と否定されてしまえば、証拠として成立しないものとなる可能性があるためです。
そこで、相手が不倫を認める言葉を口にしたときは、必ず文書または録音で、不貞をした事実を認めさせた記録を残しておく必要があります。
具体的には、「不貞をした日時」や「場所」、「相手の名前」など、できるだけ詳しく文書や録音で残しておくとよいでしょう。「証拠」としての有効性が高まります。
ただし、自白の促し方には気をつけなくてはなりません。たとえば「不倫を認めなければ職場にばらす」などと自白を強要した場合は、脅迫罪や名誉毀損(きそん)罪で訴えられてしまう可能性もあります。
心を傷つけられた立場として納得できないとは思いますが、あくまでも冷静かつ慎重に証拠集めをすることを求められるのです。
5、証拠の集め方
実際に証拠を集めるにはどのような方法がよいのでしょうか。ここでは証拠の集め方について解説します。
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(1)自分で集める
自分で証拠を集めることができれば、大きな出費は発生しない可能性が高いでしょう。
配偶者がまだ警戒していないなど、有効な証拠を得やすい環境下であれば多少ははかどるかもしれません。しかしそれでも、ゴミ箱に捨てられた領収書をとっておくなど、できることは限られます。
また、不貞をしている配偶者は強く警戒していることが多いため、証拠集めが難航するケースも少なくありません。冷静に問い詰めることで配偶者の自白を得られる可能性がありますが、証拠もなく問い詰めれば、言い逃れされたうえに警戒が強まる可能性もあります。可能な限り、自白を迫る際は確実な証拠を得てから行うことをおすすめします。 -
(2)探偵を使う
探偵に依頼する大きなデメリットとしては、費用がかかることです。しかし、信頼できる業者であれば、自分で集めるよりも有利な証拠を集められる可能性が高くなります。興信所も探偵と同じようなものですが、いずれの場合も探偵業法にのっとった健全な調査・運営を行っている業者を選ぶことが大切です。
探偵や興信所を名乗っていても違法な方法で証拠を集められてしまうと、証拠として認められなくなってしまう可能性があります。どの業者がよいか悩んだときは、弁護士に相談してください。紹介してもらえることもあります。 -
(3)弁護士に証拠集めを依頼することは可能?
弁護士は、すでに集められている証拠をもとに離婚や慰謝料請求の交渉、裁判の代理人を担うことが主な役割です。そのため、原則、証拠集めはご自身で行うか、探偵に依頼するかが基本的な選択肢となるでしょう。もっとも、証拠集めの際に弁護士に相談すれば、次のようなメリットを得られます。
- 有力な証拠や集め方をアドバイスしてもらえる。
- 証拠を集める際の法的な注意点を教えてくれる。
- 集めた証拠の有効性を判断してくれる。
- 集めた証拠をもとに離婚や慰謝料請求の交渉をしてくれる。
- あらかじめ相談しておくと裁判の代理人になってもらう際にスムーズに対応してもらえる。
冷静な判断ができない状態のまま、やみくもに自分の判断で動いてしまうことは、非常に危険な行為です。法的な証拠を集めることができないまま、自らが訴えられて慰謝料を払うことになるなど、最悪の結果を招いてしまうケースもあります。
まずは、弁護士に相談し、実際に交渉や裁判で有利となる証拠についてアドバイスしてもらってから動き出す方が効率的ですし、何よりもあなた自身を守ることができます。
6、まとめ
今回は、不貞の証拠に着目し、証拠の種類や集め方を解説しました。証拠集めは精神的につらい作業となることも多いのですが、謝罪や慰謝料をもらうことで今後の生活に対する精神的・経済的な準備ができます。特に離婚や慰謝料請求において、証拠は重要な役割を担うので有効性の高い証拠を確実に手に入れるようにしましょう。
ただし、証拠の種類や集め方によっては、法律違反となる可能性もあるため、判断が難しい面もあります。弁護士に相談して、適切な証拠や集め方に関するアドバイスを得ることも大切です。
まずはひとりで抱え込まず、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスへ相談してください。川越オフィスの弁護士が、状況に適したアドバイスを行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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