教育ローンが返済できないとき、滞納するリスクは? 対処法も解説

2023年07月06日
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教育ローンが返済できないとき、滞納するリスクは? 対処法も解説

子どもがいる家庭では、子どもの進学や留学などの際に多額の費用がかかります。ご両親の蓄えなどから教育費用を支払うことができればよいですが、蓄えが足りない場合には、教育ローンを利用する場合もあるでしょう。

教育ローンも借金であることには変わりありませんので、教育ローンの返済を滞納してしまうと、さまざまなリスクが生じます。もし教育ローンが返済できない状態になった場合には、早めに適切な対処を行うことが大切です。

本コラムでは、教育ローンが返済できない場合の対処法や滞納した場合のリスクについて、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスの弁護士が解説します。

1、教育ローンが支払えないとどうなる?

まず、教育ローンが返済できない場合に発生するデメリットやリスクについて解説します。

  1. (1)遅延損害金がつく

    教育ローンの返済を滞納すると、返済期日の翌日から遅延損害金が発生します。

    遅延損害金は、返済が遅れた借金に対するペナルティーの一種であり、元本に対して一定の利率で計算した金額が発生します。
    一般的には利息に比べて高額な利率が設定されているため、滞納している期間が長くなればなるほど、遅延損害金の金額は高くなります

  2. (2)ブラックリストに載る

    「ブラックリスト」に載るとは、信用情報機関に事故情報が登録された状態をいいます。

    信用情報機関は個人の借り入れ状況・利用残高・支払い状況などの取引情報を管理しており、信用情報機関に加盟するクレジットカード会社・ローン会社・金融機関などは、個人の信用情報を照会することができます。
    そのため、ブラックリストに載ってしまうと、新規の借り入れやクレジットカードの申し込みなどが断られてしまうことがあります。
    商品にもよりますが、教育ローンを2~3か月以上滞納するとブラックリストに載るリスクが発生する点に注意してください

  3. (3)一括請求される

    商品にもよりますが、教育ローンを3~4か月以上滞納すると、ローン会社から借金の一括返済の請求がきます。

    一般的に教育ローンの返済は分割払いで行われますが、分割払いが可能なのは、ローン会社によって借り主に「期限の利益」(約束した返済日までにお金を返済すればよいという借り主の利益)が認められているからです。
    滞納が一定期間を超えると、期限の利益は失われてしまいます。そして、その時点の教育ローンの残額や利息、遅延損害金を一括で支払わなければなくなるのです。

  4. (4)連帯保証人に請求される

    教育ローンを借りる際に連帯保証人をつけていた場合には、ローン会社からの一括請求は連帯保証人に対しても行われます。
    連帯保証人は債務者と同じ立場で支払いをしなければなりませんので、「先に本人に請求してくれ」などの理由をつけても支払いを逃れることはできません。

    つまり、教育ローンが返済できないと、連帯保証人を依頼した相手にも迷惑をかけてしまいます

  5. (5)財産が差し押さえられる

    教育ローンを6か月以上滞納すると、ローン会社から借金の返済を求める裁判が起こされるリスクが生じます。

    請求を認める判決が確定すると、強制執行の申立てがなされ、借り主の預貯金や給料といった財産が差し押さえられてしまうことになるのです

2、教育ローンが支払えないときの対処法

教育ローンが支払えないときには、以下のような対処法を検討してください。

  1. (1)借入先に相談する

    教育ローンの支払いが難しくなった場合には、滞納する前に、まずは教育ローンや教育資金融資保証基金、教育一般貸付などを受けた借入先に相談をしてみましょう。
    借入先に相談をすることで、返済が困難になった状況に応じたさまざまな返済プランを提案してもらうことができます。

    たとえば、元本据え置き返済を利用すれば、一定期間は利息だけを支払えばよく、元本の返済期限を猶予してもらうことができます

  2. (2)債務整理をする

    借入先に相談しても返済できない状況が改善されない場合には、債務整理を検討しましょう。
    債務整理の方法は主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の三種類があります。

    ① 任意整理
    任意整理とは、債権者との交渉によって将来利息のカットや遅延損害金の減免、支払い条件の変更などに応じてもらい、借金返済の負担を軽減する方法です。
    自己破産や個人再生とは異なり裁判所を利用しない方法であるため、特定の債権者を除外するなどの柔軟な対応が可能ですが、債権者の合意がなければ希望する条件での任意整理を行うことはできません。

    なお、日本政策金融公庫の教育ローンを利用している場合には、任意整理では、ほとんど借金返済の負担軽減といった効果が得られません。
    日本政策金融公庫の融資は一般的な借金に比べて金利が低く、将来利息のカットに応じてもらっても得られる効果はわずかしかないためです

    ② 自己破産
    自己破産とは、裁判所による免責許可決定によって、借金の返済義務を免除してもらう方法です。

    教育ローン以外に借金がある場合にも、自己破産の手続をし、免責許可決定を得れば、原則としてすべての借金をゼロにすることができるため、借金問題の根本的解決が可能になります。
    しかし、自己破産をした場合には、一定金額以上の財産はすべて手放す必要があります
    そのため、預貯金や退職金がある方や自宅や車など高額な資産を有している方は、他の方法を選択したほうがいいでしょう。

    ③ 個人再生
    個人再生とは、裁判所の再生計画案の認可によって借金総額を大幅に減額してもらい、それを3~5年の期間で分割払いしていく方法です。
    任意整理では効果が少ない教育ローンであっても、個人再生を利用すれば、大幅な減額をすることができます。また、自己破産のように財産を手放す必要はありませんので、手元に残したい財産がある方にとっては有効な手段です。

    ただし、個人再生を利用するためには、安定した収入があることが条件になります

3、債務者が亡くなったときは相続放棄をすれば返済を避けられる

債務者が亡くなった場合には、相続放棄によって、教育ローンの返済を避けることができます。

  1. (1)相続放棄とは

    相続放棄とは、相続により発生する一切の権利や義務を放棄する手続きです。
    被相続人が死亡すると、被相続人の現金、預貯金、不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続人に相続されます。
    教育ローンを含めた借金額がプラスの財産を上回っているような場合には、遺産を相続するメリットはないでしょう

    「親が自分のために教育ローンを組んでいたが、その親が亡くなった」いう場合には、相続放棄によって、借金の相続を回避できます。
    ただし、相続放棄をすると、借金などのマイナスの財産だけでなくプラスの財産も相続することができなくなります
    また、裁判所で相続放棄が受理されてしまうと、後になって高額な財産が見つかったとしても、相続放棄を撤回することはできない点に注意してください。

  2. (2)相続放棄には期限がある

    相続放棄をする場合には、裁判所に相続の放棄の申述という手続きを行わなければなりません。
    相続放棄の申述は、原則として相続開始を知ったときから3か月という期間内に行う必要があります。期限が過ぎてしまうと相続放棄はできなくなるため、相続放棄を検討されている方は、速やかに手続きを進めていくようにしましょう

4、教育ローンが支払えないときには弁護士にご相談を

もし教育ローンが返済できない状態になってしまったら、早い段階から弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)最適な債務整理の手続きをアドバイス

    債務整理には、主に任意整理、自己破産、個人再生の三種類の方法があります。
    それぞれの債務整理の方法には、メリットだけでなくデメリットも存在するため、ご自身の状況に応じた最適な方法を選択することが重要です。

    弁護士であれば、借り入れの経緯、借金総額や収支状況、資産内容などの具体的な状況をヒアリングしたうえで、最適な債務整理の手続きをアドバイスすることができます

  2. (2)面倒な手続きを任せることができる

    弁護士に債務整理の依頼をすれば、債権者との交渉から裁判所とのやり取り等の手続きを任せることができます。

    また、債務整理では膨大な書類を準備する必要がありますが、弁護士に依頼すれば、必要書類の収集も任せることができるのです

  3. (3)債権者への支払いをストップできる

    債務整理の依頼を受けた弁護士は、各債権者に対して受任通知を送付します。
    受任通知が債権者に届いた後は、債権者から債務者への直接の取り立てが禁止されて、借金の返済も一時的にストップします。

    取り立てや支払いが一時的になくなることで、債権者としては精神的なストレスや金銭的な負担を抑制することができ、長期的な視座での経済的再建に取り組みやすくなるでしょう

5、まとめ

教育ローンを返済できないまま放置すると、最終的には財産が差し押さえられるなどのリスクが存在します。

教育ローンを含む借金の問題は、弁護士に債務整理を依頼することで、解決できる可能性があります。
借金問題でお困りの方は、まずはベリーベスト法律事務所オフィスまで、お気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています