リゾート会員権の相続税評価のされ方は? 注意点を解説
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埼玉県が公表している「令和元年埼玉県の人口動態概況」によると、令和元年度の川越市内の死亡者数は3316人でした。相続は、人の死亡によって開始するものであるため、川越市内でも毎年一定数の相続が発生していることが推測できます。
相続人が被相続人から相続する財産というと、現金・預貯金、不動産といった資産をイメージする方が多いと思います。しかし、相続財産にはそのような資産以外にも「権利」といったものも含まれます。たとえば、代表的なものとして、「ゴルフ会員権」があります。そのほかにも、特殊な権利として「リゾート会員権」というものが挙げられます。
では、リゾート会員権を相続するとき、リゾート会員権の相続税評価はどのような方法を用いるのでしょうか。本コラムでは、リゾート会員権の相続に関する注意点について、ベリーベスト法律事務所川越オフィスの弁護士が解説します。
1、リゾート会員権の相続税評価のされ方は?
リゾート会員権が相続財産に含まれる場合の、相続税の評価方法について解説します。
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(1)リゾート会員権とは?
リゾート会員権とは、具体的には「会員制リゾートの滞在利用権」のことをいいます。
また、リゾート会員権には、大きく分けて、所有権型のリゾート会員権と利用権型のリゾート会員権の二種類が存在します。
所有権型のリゾート会員権とは、分譲マンションなどと同じように、リゾート地に建てられたマンションの一室やホテルの客室を複数の会員で所有する形態の会員権です。
これに対して、利用権型のリゾート会員権は、不動産の所有権自体はなく、単純にリゾート施設を利用する権利が付与された形態の会員権となります。
所有権型のリゾートホテルは、いつでも自分の好きなときに利用できるというメリットがありますが、購入価額が高いというデメリットも存在します。
リゾート地への短期滞在が目的であれば、購入するまでの必要はありません。そのため、近年は、所有権型のリゾート会員権よりも、利用権型のリゾート会員権のほうの人気が増しているのです。 -
(2)リゾート会員権の相続税評価方法
リゾート会員権についても相続税の課税対象となりますので、どのように評価をするかが問題になります。
リゾート会員権の相続税評価方法は、取引相場の有無によって、以下のように分かれます。
① 取引相場のあるリゾート会員権
取引相場があるリゾート会員権については、取引相場のあるゴルフ会員権の評価方法に準じて、通常の取引価格の70%相当額によって評価することになります。
リゾート会員権の取引は、所有者が直接取引したり、会員権取引業者が仲介して取引したりするなど、取引の態様は一様ではありません。したがって、価格形成も業者ごとにばらつきが生じます。そのため、評価上の安全性を考慮して、通常の取引価格の70%相当額で評価することになっているのです。
通常の取引価格については、インターネット上の取引事例や仲介業者に確認するなどして、相続開始時点の取引価格を算出することができます。
② 取引相場のないリゾート会員権
取引相場のないリゾート会員権については、取引相場のないゴルフ会員権の評価方法に準じて、預託金の金額に基づいて評価することになります。
取引相場がなく預託金も存在しないリゾート会員権については、相続税の課税対象にはならず、評価の必要性もないのです。
2、相続したリゾート会員権の利用方法
リゾート会員権を相続することになった場合には、以下のような方法で利用することができます。
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(1)リゾート会員権の名義書き換えをする(リゾート会員として利用する)
リゾートクラブの会員になることによって、リーズナブルな料金で国内外のリゾート施設を利用することが可能になります。
ただし、相続したリゾート会員権は、そのままだと被相続人名義のままですので、相続をした相続人の名義に変更をする手続きをとらなければなりません。
詳しい手続きについては、会員制リゾート運営会社によって異なるための、リゾート会員権の運営会社に連絡する必要があります。 -
(2)リゾート会員権を売却する
リゾート会員権を相続したものの、「今後、リゾート施設を利用するつもりはない」という場合には、リゾート会員権を売却して、金銭に換えることが可能です。
毎年かかる年会費の事を考えると、リゾート施設を利用する予定がなければ、売却してしまったほうがよいでしょう。
売却方法については、特に決まりはありません。自ら買い主を探して直接取引をすることもできるほか、リゾート会員権の仲介業者に依頼して売却することも可能です。
3、リゾート会員権を相続する場合の注意点
リゾート会員権を相続することになった場合には、以下の点に注意が必要です。
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(1)年会費だけを払い続ける事態に注意!
先述したように、リゾート会員権は、一年間全く利用しなかったとしても、年会費の支払いが必要となります。年会費はリゾート経営会社によって異なりますが、年間数万円から数十万円もかかります。全く利用しないにもかかわらず、毎年年会費だけを負担することになるのは、無駄な出費と言わざるをえません。
リゾート会員権を相続する際には、年会費の負担に見合う価値があるかどうかを慎重に判断してから行うようにしましょう。 -
(2)売却しようとしても買い手が見つからない
リゾート施設のなかには、バブル期のころの人気がなくなってしまったものもあります。そのようなリゾート施設のリゾート会員権については、買い手を探そうとしても、なかなか見つけることが難しいでしょう。
つまり、売却して現金化することを予定してリゾート会員権を相続したにもかかわらず、売却先が見つからないという事態が生じるおそれもあるのです。
売却するつもりでリゾート会員権を相続するなら、あらかじめ買い取り希望者を見つけておくなど、リゾート会員権を売却できる可能性を高めておくことが重要になります。 -
(3)預託金据置期間中は預託金返金を求められない
リゾート会員権の処分の方法には、売却だけでなく、解約によってリゾート会員を退会するという方法もあります。リゾート会員権は、購入時に預託金として一定の金額を預けていますので、解約をすることによって、預託金の返還を求めることが可能になります。
ただし、会員制リゾート経営会社の規約によっては、長期間の預託金据置期間が設定されていることもあります。そのような場合には、預託金据置期間が経過しなければ、たとえ解約をしたとしても預託金の返還を求めることができないのです。
4、リゾート会員権の相続に不安があるならベリーベストに相談
リゾート会員権の相続に不安がある場合には、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。
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(1)相続に関するワンストップサービスを受けられる
ベリーベスト法律事務所では、相続案件の経験豊富な弁護士だけでなく、税理士や司法書士などの専門家も所属しています。
相続手続きにおいては、遺産分割という法律問題だけでなく、相続税の問題や相続登記の問題など各専門家の協力が必要な場面が多々あります。
その都度、相続に関する専門家を探さなければならないと、非常に手間がかかりますし、何度も同じ説明をしなければならないというのも大変な負担となります。
しかし、ベリーベスト法律事務所に相続手続きをご依頼いただければ、そのような負担はありません。遺産分割から相続税・相続登記の問題までワンストップで解決可能です。 -
(2)相続手続き全般について適切なサポートが受けられる
リゾート会員権のほかにも相続財産が多数存在する場合、その調査や評価が複雑になります。そのため、相続人が相続手続きに不慣れな場合には、相続の手続きを適切に進めることは困難になります。
たとえば、現金や預貯金など評価が簡単な資産のみならず、不動産などが相続財産に含まれる場合には、評価方法によって金額が大きく異なってくるのです。
弁護士であれば、各種調査から遺産の評価まで専門家として適切に行うことが可能です。また、遺産分割の場面でも弁護士が窓口にとなって各相続人との交渉にあたることができます。
弁護士に任せることによって、相続人ご自身の負担を軽減することができるだけでなく、適切な遺産分割の実現が可能になるのです。
5、まとめ
リゾート会員権が相続財産に含まれる場合には、相続するにあたって何を考えればよいのか、どう扱えばよいのか、さまざまな悩みが生じることになるでしょう。このような場合には、弁護士に相談することが最善です。
埼玉県川越市や近隣市町村にお住まいで、相続に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています