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略式起訴のことが会社にばれる可能性はある? 回避するための対応

2023年09月12日
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略式起訴のことが会社にばれる可能性はある? 回避するための対応

平成29年7月、無登録で貸金業を営んだ容疑で、川越市の職員が川越区検に「略式起訴」されました。川越簡裁は、略式起訴と同日に罰金50万円の略式命令を出したとのことです。

この事例は新聞・ネットニュースなどで報じられており、公職であることも考えると、勤務先にばれてしまっていると推測できます。では、一般の会社員でも略式起訴されると会社にばれるのでしょうか?

本コラムでは「略式起訴」の意味や仕組み、会社にばれる可能性や会社にばれる事態を防ぐための対策などを、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスの弁護士が解説します。

1、「略式起訴」とは? 会社にばれる?

まず、略式起訴という手続きの意味や仕組み、略式起訴されると会社にばれるのかを解説します。

  1. (1)略式起訴とはどんな手続きなのか?

    「略式起訴」とは、検察官による起訴のひとつです。
    起訴とは「刑事裁判を提起すること」という意味で、略式起訴とは「略式手続」による起訴を意味します
    略式手続の開始を求めるという意味で「略式請求」とも呼ばれています。

    通常、刑事裁判は日本国憲法第37条1項の規定によって、公平な裁判所の迅速な公開裁判の場で審理されるのが原則です。
    しかし、公開の刑事裁判が終結するまでに要する時間はおおむね3か月程度で、事案によってはそれ以上の時間がかかってしまうので、すべての事件を正式な公開裁判で対応していると裁判所の処理能力を超えてしまい、機能しなくなってしまいます。
    そこで、一定の要件を満たす事件に限り、簡易的な手続きによって刑事処分を決定するのが「略式手続」です。

    令和4年版の犯罪白書によると、令和3年中に全国の検察庁で起訴されたのは24万4425人でした。
    うち、正式な公開裁判を求める「公判請求」を受けたのは7万6548人、略式請求を受けたのは16万7877人であり、約68%が略式手続を受けています。

  2. (2)略式手続の対象と条件

    略式手続の対象となる条件は、次の三点です。

    • 簡易裁判所の管轄に属する事件である
    • 裁判所には裁判権という管轄があります。
      簡易裁判所の管轄に属するのは、罰金以下の刑にあたる罪や、窃盗・横領など比較的軽微な罪にあたる事件です。
      通常、簡易裁判所では禁錮以上の刑を科すことはできません。
      簡易裁判所が懲役・禁錮の刑を科すのが相当だと判断した場合は、事件を地方裁判所に移送するのが原則です。

    • 100万円以下の罰金・科料を科す事件である
    • 略式手続では、判決ではなく「命令」というかたちで刑罰が科せられます。
      略式命令によって科すことのできる刑罰は100万円以下の罰金・科料だけです。
      よって、法定刑が懲役のみの強制わいせつ罪や詐欺罪などは、略式手続の対象にはなりません。

    • 被疑者が略式手続に同意しており、書面でその意思を明らかにしている
    • 略式手続では、公開の裁判が開かれず書面審理のみで罰金・科料の命令を受けます。裁判手続きが長期化しない、罰金・科料の納付によって刑が終了するという意味では被告人にとって有利ですが、「事実とは異なるから容疑を否認したい」「罰金額が大きすぎるので異議を唱えたい」と希望される人にとっては、争う場が失われるという不利が生じます。
      このような問題に対応するために、略式手続は、あらかじめ被疑者に対して略式手続の意味を理解させ、異議がないことを確認し、異議がないときは書面でその意思を明らかにしなければならないという決まりがあります。
      つまり、被疑者の同意が得られていない場合は、略式手続は進められません
  3. (3)略式起訴されると会社にばれるのか?

    略式起訴に限らず、原則として刑事手続きの進行が本人以外の第三者に通知されることはありません。
    第三者に通知されるのは、たとえば被害者連絡制度の対象事件において、被害者に処分結果などが通知されるときだけです。
    つまり、社員について「貴社の〇〇さんを略式起訴した」などと通知され、ばれてしまう危険はないのです。

    しかし、以下のような場合には、略式起訴が会社にばれる可能性があります

    • 業務上横領や背任など、会社が被害者となる場合
    • 会社の同僚を相手とした傷害事件などの場合
    • 医師など、罰金以上の刑罰を受けると資格免許が取り消されてしまう場合


    とくに、資格免許が取り消されてしまう場合では、検察庁や裁判所からの通知がなくても資格免許の監督官庁などからの通知によってばれてしまうことが想定されます。

2、事件を起こしたことが会社にばれたくない! 優先すべきは「逮捕」の回避

刑事事件を起こしたという事実が会社にばれたくない場合は、まずは「逮捕」の回避を最優先に考えなければなりません。

  1. (1)最大23日間の身柄拘束を防ぐ必要がある

    警察に逮捕されると、逮捕・勾留によって最大23日間にわたる身柄拘束を受けます。
    事前の通知がなく「〇日ころに逮捕される」といった予定も立てられないので、なんの準備もできないまま、突然逮捕されることになるでしょう。

    会社側としては「連絡もなく無断で欠勤している」という状態が続きます。
    家族に連絡したり、上司が自宅を訪ねたりして安否を確認するので、逮捕が発覚し、刑事事件を起こしたことが会社にばれてしまう危険は大いに高まります。

    会社にばれる事態を防ぎたいなら、素早い対応によって、逮捕による身柄拘束を避けることが必要です

  2. (2)ニュースや新聞の実名報道を回避する必要がある

    逮捕されると、ニュースや新聞で実名が報道されてしまう危険が高まります。
    誰でも知っているような大企業の社員や公職に就いているなどの場合は、実名とあわせて勤務先も公開されてしまうこともあるので、会社にばれる可能性が高いでしょう。

    警察は、被疑者を逮捕した事案について、共犯者の存在が疑われており公開すれば捜査に支障があるなどの理由がない限り、報道局に情報を提供しています。

    提供された情報について、実名や勤務先名を明らかにして報じるか、実名を伏せて肩書・年齢だけで報じるのか、あるいはまったく報じないのかを選択するのは報道局の自由です。
    逮捕された本人や関係者が報道局に「報道しないでほしい」と要望しても、国民の「知る権利」などを理由に聞き入れてはもらえないでしょう

3、逮捕や略式起訴がばれたら懲戒解雇になる?

刑事事件を起こして逮捕されたり、略式起訴されたりしたとき、不安に感じるのが「会社にばれると懲戒解雇になるのか?」という点でしょう。
以下では、逮捕や略式起訴を理由に懲戒解雇される可能性について解説します。

  1. (1)解雇の条件

    「解雇」とは、使用者が労働者との労働契約を一方的に解除することを意味します。
    簡単にいえば「会社をクビになる」という状態です。

    解雇には、健康状態の悪化や成績不良などを理由とした普通解雇、会社の人員削減などを理由とした整理解雇、会社からの懲罰としての懲戒解雇の3種類があります。
    刑事事件を起こしたことを理由に解雇がおこなわれる場合は、懲戒解雇が選択される可能性が高いでしょう。

    ただし、解雇は労働者の収入手段を奪う行為であり、雇用主だからといって無制限に許されるものではありません
    とくに懲戒処分については、労働契約法第15条において「当該懲戒にかかる労働者の行為の性質および態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効とする」という条件が明示されています。

  2. (2)逮捕されただけでは解雇は認められない可能性が高い

    世間一般では「逮捕=有罪」のようにとらえられがちですが、逮捕・勾留の段階は捜査の途中であり、まだ「罪を犯した」と断定されたわけでも、有罪が決まったわけでもありません。
    逮捕されても証拠不十分等で不起訴になったり、捜査機関のミスで誤って逮捕されたことが判明する可能性もあります。

    刑事裁判で有罪判決を受けるまでは、たとえ逮捕されて捜査の対象になったとしても「罪を犯していない人」として扱われなくてはなりません。
    これを「無罪推定の原則」といいます。

    無罪と推定されるべきなのに逮捕を理由として解雇することは認められないので、解雇されても解雇権の濫用として争える場合もあるでしょう

  3. (3)略式起訴でも内容次第では不当解雇になる

    略式起訴を受け入れた場合は、正式な裁判を経ることなく罰金・科料の刑罰が科せられて前科がつきます。
    逮捕後の捜査途中の段階や刑事裁判で審理されている間とは異なり、有罪が確定した状態になるので、会社の就業規則に明記されている場合は懲戒解雇が妥当と認められてしまう可能性が高いでしょう。

    ただし、略式起訴されたからといって、かならず懲戒解雇が認められるわけではありません。
    たとえば、業務上横領や背任などのように会社の信頼を大きく裏切り損害を与えた犯罪や、社内での盗撮・痴漢といった職場の秩序を乱した犯罪であった場合には、懲戒解雇を避けるのは難しいかもしれません。
    一方で、不注意による交通事故で人にけがをさせた、知人とトラブルになり暴行したなど、私生活を送るうえで起こした犯罪であれば、不当解雇として争う余地もあります

4、逮捕や略式起訴を回避するために取るべき行動

刑事事件を起こしたことが会社にばれると、解雇される事態になったり、解雇されないとしても職場に居づらい雰囲気になってしまったりする可能性があります。
会社にばれないためには、逮捕や略式起訴といった刑事手続きや処分を回避するための対策が必須です。

  1. (1)弁護士への相談を急ぐ

    逮捕や略式起訴などを回避したいと望むなら、まずは弁護士への相談を急いでください。

    弁護士といえば、ドラマや映画などで描かれるように、法廷で検察官や裁判官と争う役割というイメージが強いかもしれません。
    しかし、事件を起こしてしまった直後の段階で弁護士に相談や依頼をすれば、素早い弁護活動によって、警察に事件が発覚する前に解決できる可能性が高まります。
    被害者による申告などですでに警察が認知していたとしても、捜査の初期段階で弁護活動を尽くせば逮捕の回避も期待できるでしょう。

    弁護士への相談が早ければ早いほど、弁護活動の効果は高まります。
    ひとりで悩むのではなく、まずは信頼できる弁護士への相談を急ぐことが、穏便な解決を実現するための最善策です

  2. (2)被害者との示談成立を目指す

    被害者が存在する事件では、示談交渉が必須です。
    被害者に対してしっかり謝罪し、相手に与えた損害や精神的苦痛に対する賠償を尽くすことで、被害届の提出をとりやめてもらえたり、すでに提出済みの被害届や刑事告訴を取り下げてもらえたりする可能性が高まります。

    ただし、示談交渉はあくまでも加害者と被害者との間で交わす民事的な話し合いであり、警察や検察官が仲立ちをしてくれるわけではありません。
    そもそも、逮捕されて身柄拘束を受けている本人では被害者と会うことさえできず、本人の家族などが代理で交渉を申し入れても、犯罪の被害にあったことで怒りや嫌悪といった感情が高まっている被害者だと相手にしてもらえないでしょう。

    被害者との示談交渉は、公平中立な第三者である弁護士に任せることをおすすめします
    数多くの被害者との示談交渉を経験してきた弁護士に一任すれば、被害者の警戒心を和らげつつ、穏便な和解を目指せるでしょう。

5、まとめ

刑事事件を起こして略式起訴されても、基本的に会社にばれることはありません。
ただし、警察に逮捕されて身柄拘束を受けたり、新聞やニュースで実名報道されたりすると、会社にばれてしまう危険が高まります。

刑事事件を起こしたことが会社にばれる事態を防ぐためには、迅速に弁護士に依頼して、逮捕を回避することが不可欠です。
罪を犯したことによる逮捕や略式起訴、会社からの解雇などに不安を感じている方は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 川越オフィスにご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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