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ネットショップが特定商取引法違反となる可能性は? 運営の注意点とは

2021年08月16日
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ネットショップが特定商取引法違反となる可能性は? 運営の注意点とは

ニュースなどを見ていると、「特定商取引法違反」で行政処分された事業者が取り上げられることがあります。埼玉県でも、令和元年には「特定商取引法」や「埼玉県消費生活条例」に違反した県内の事業者に対して15件の行政処分と65件の行政指導が行われました。
インターネット上で商品を販売するネットショップにも、特定商取引法は適用されます。特定商取引法は、消費者の利益を守るために制定されたものであり、これに違反してしまうと、消費者に対する信用を失い、ショップ経営に深刻な影響が生じる可能性があります。また、業務停止命令などの行政処分や罰金刑などを受けて、経営が立ち行かなくなってしまうおそれもあります。

本コラムでは、ネットショップを運営するうえで守らなければいけない特定商取引法の各規制について、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスの弁護士が解説します。

1、特定商取引法とはどんな法律?

特定商取引法とは、トラブルを生じやすい取引類型を対象にした、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止して消費者の利益を守ることを目的とする法律です。具体的には、訪問販売や通信販売などの「店舗外での商品販売」等が主な対象となります。また、マルチ商法や内職商法、送りつけ商法などにも特定商取引法が適用されます。
事業者がインターネットで広告活動を行い、消費者がインターネットで申込みをするネットショップは、「通信販売」の一種です。そのため、ネットショップを運営する事業者は、特定商取引法で定められたルールを守らなければなりません

2、ネットショップ運営で、特定商取引法に違反する行為とは?

ネットショップを運営するうえでは、次のような行為が特定商取引法違反にあたります。

  1. (1)広告表示の不備

    特定商取引法では、広告内に表示しなければいけない事項が定められています。
    なお、ネットショップにおいては「ショップのWEBサイト」全体が広告にあたります。つまり、個別の商品を紹介するページはもちろん、サイトの特徴やメッセージを説明するページなどのすべてが「広告」とみなされるのです。

    特定商取引法第11条に定められている、広告に表示することが定められている事項については、消費者庁が運営する「特定商取引法ガイド」のホームページで詳細に紹介されています

    具体的には以下のとおりです。

    1. 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
    2. 代金(対価)の支払い時期、方法
    3. 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
    4. 商品若しくは特定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(その特約がある場合はその内容)
    5. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
    6. 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
    7. 申込みの有効期限があるときには、その期限
    8. 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額
    9. 引き渡された商品が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
    10. いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
    11. 商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び販売条件
    12. 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容
    13. 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
    14. 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス


    消費者庁「特定商取引法ガイド」ホームページより)

  2. (2)誇大広告

    広告というものには、その性質上、多少の誇張が含まれているケースは少なくありません。しかし、商品の広告において「著しく事実に相違する表示」や「実際のものより著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示」をすることは誇大広告となり、特定商取引法で禁止されています。

    たとえば、外国産の原材料を国産品であるかのように表示したりすることは、優良誤認として誇大広告にあたりえます。さらに、根拠がないのに「これを食べたら必ず痩せる!」と書くことも、誇大広告にあたる可能性があります。虚偽・誇大な広告については、景品表示法や健康増進法などの法律によっても禁止されています

  3. (3)未承諾者に対する電子メール広告の送信

    電子メールによる広告は、原則として、消費者が広告の受信を事前に承諾しない限り禁止されています。これを「オプトイン規制」と呼びます
    ただし、オプトイン規制の例外として、契約内容や発送通知などの重要事項を通知するメールの一部に広告を含めることや、消費者から承諾を得て送信しているメールマガジンの一部に広告を記載することは認められています。
    また、送信した電子メール広告のなかには、消費者が、今後そのメール広告の送信を拒否する意思表示をするための情報(メールアドレスやURLなど)を表示する必要があります。さらに、電子メールを送る際には「そのメール広告を送ることの請求や承諾を消費者から得た」記録を作成して保存する義務が、販売業者等に課されています。

  4. (4)未承諾者に対するファクシミリ広告の送信

    電子メール広告と同様に、ファクシミリ広告にも「オプトイン規制」が実施されています。事前に消費者から承諾を得ていない限り、ファクシミリ広告の送信は、原則的に禁止されています。
    なお、ファックスは、送信するだけで消費者の側の資源(紙、トナー、コピー機のカウント)を消費してしまい、日常生活や業務を妨害するという面もあります。そのため、ファクシミリ広告に対する消費者の目線は厳しいといえるかもしれません。

  5. (5)前払式通信販売の承諾などの通知の未実施

    商品を受け取るよりも前に消費者が代金を支払う前払式の販売では、事業者が代金を受け取り、その後、商品の引渡しに時間がかかるときには、その申込みの諾否等を通知しなくてはなりません。通知の方法は、書面の郵送等が主となります。
    具体的には、以下の項目について承諾や通知が必要となります。

    【前払式通信販売の承諾等の通知(特定商取引法第13条)】
    1. 申込みの承諾の有無(承諾しないときには、受け取ったお金をすぐに返すことと、その方法を明らかにしなければならない)
    2. 代金(対価)を受け取る前に申込みの承諾の有無を通知しているときには、その旨
    3. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
    4. 受領した金銭の額(それ以前にも金銭を受け取っているときには、その合計額)
    5. 当該金銭を受け取った年月日
    6. 申込みを受けた商品とその数量(権利、役務の種類)
    7. 承諾するときには、商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)(期間または期限を明らかにすることにより行わなければならない)


    消費者庁「特定商取引法ガイド」ホームページより)

  6. (6)契約解除に伴う債務不履行

    消費者が、商品をキャンセルするなどして売買契約を解除(撤回)等したとき、消費者と事業者の双方に「原状回復義務」が生じます。「お互いが契約によって得たものを、相手に返す義務」のことです。消費者は、商品を事業者に返却する義務があり、事業者は、代金を消費者に返還する義務があります。
    この代金返還を拒否したり不当に遅延させたりすることは、「債務不履行」として特定商取引法違反になる可能性があります

  7. (7)顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為

    消費者が、「この商品を注文しよう」と決意していないのに、サイト内のデザインや決済までの手続をわかりづらくすることで不本意な注文をさせることは、禁止されています。
    具体的には、あるボタンをクリックすれば、それが有料の申込みとなることを、消費者に容易に認識できるように表示していないことなどです。

    また、申込みをする際に、消費者が、申込みの内容を容易に確認し、かつ訂正できるように措置をしていないことも、特定商取引法違反になる可能性があります

  8. (8)契約の申込みの撤回または契約の解除ができない場合

    ネットショップなどの通信販売には、クーリングオフ制度はありません。
    ネットショップ等の通信販売では、訪問販売と違って、消費者が自主的に商品を選んで購入するかたちになるので、クーリングオフの規定を導入することは適切でないと考えられたからです。

    とはいえ、商品に「返品特約」(経済産業省令に定めたルールに従う必要があります。)が定められていない場合、消費者が商品を受け取ってから8日以内までなら、消費者の送料負担で、消費者は、当該商品を返品することができます。
    「返品特約」を定めていないのに、消費者が商品を返品したり契約を解除したりすることをできないようにした場合も、特定商取引法違反にあたり得ます

3、特定商取引法に違反したときの罰則は?

上記のような特定商取引法の規制に違反した場合は、業務改善指示や業務停止命令、業務禁止命令などの行政処分の対象となるほか、罰則に対象となります。

4、ネットショップ運営を弁護士に相談するメリットとは?

ネットショップの運営には、特定商取引法のほかにも景品表示法や個人情報保護法、電子消費者契約法などの様々な法律が関係します。ネットショップを新規にオープンされた方、またはこれからオープンしようとしている方は、ぜひ弁護士に相談して、WEBサイトや契約内容などが法律に違反していないか、専門家の目で確認してもらうことをおすすめします。

特にインターネットに関係する法律は、たびたび改正されています。これまでは問題がなかったサイトでも、法改正によってNGになる可能性があります。そのため、長年にわたって運営されているネットショップであっても、弁護士に依頼して法律面の確認を定期的に行ったほうがよいでしょう

また、ネットショップでは、SNSでの口コミや検索サイトの検索結果等が、通常のお店以上に重要になります。そして、消費者トラブルが発生した場合、SNSやレビューサイトなどにマイナスの評価が書き込まれて、お店の信用問題に関わることになりかねません。

そのような事態を回避するために、消費者トラブルには迅速に対応することが重要となります。消費者トラブルを適切に解決するためには、法律の専門知識が必要となります。お客様とのトラブルによって、お店のイメージが落ちることを未然に防ぐためにも、早めに弁護士に相談することをおすすめします

5、まとめ

ネットショップの運営には、特定商取引法以外にも様々な法律が関わります。入念にチェックしたつもりでも、思わぬ不備や法律違反がサイト内に隠れているかもしれません。

ご自身で法律を把握することも大切です。しかし、専門家である弁護士に相談することで未然に防げる問題もあります。もし、特定商取引法違反が発覚して消費者トラブルが起こってしまった場合にも、弁護士に依頼すれば法律的な問題への対処が可能です。
ネットショップを運営されている事業者の方は、ぜひ一度、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスの弁護士にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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