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女性活躍推進法と女性の役員や管理職の比率を上げるべき理由とは

2021年10月18日
  • 一般企業法務
  • 女性
  • 役員
  • 比率
女性活躍推進法と女性の役員や管理職の比率を上げるべき理由とは

川越市のホームページには、市で働く女性の活躍状況に関する情報が公開されています。たとえば、「令和2年度までに管理職(副課長級以上)の女性割合を25%以上にする」という目標に対し、目標を上回る26.0%を実現したことなどが公開されているのです。

民間企業においても、多くの経営者が、さまざまな場面で女性の役員や管理職の比率を上げる必要性を感じられているでしょう。しかし、積極的な取り組みを実践するまでには至っていないという会社も多々あるはずです。

近年では、女性活躍推進法の改正による対象企業が拡大したことによって、より多くの企業においても本格的な取り組みを検討する必要が生じております。

本コラムでは、企業が女性の役員や管理職の比率を上げるべき理由と、女性活躍推進法が企業に求める義務について、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスの弁護士が解説いたします。

1、なぜ女性役員の比率を高めた方がよいのか

まず、日本の女性役員の現状と女性役員比率を高める理由をみていきましょう。

  1. (1)日本の上場企業における女性役員比率の現状

    日本の上場企業役員総数に対する女性役員比率は、令和2年7月時点で6.2%とされています。しかし、諸外国の女性役員比率をみると、もっとも高いフランスでは約45%、欧米諸国のなかでは比較的低いアメリカでも約25%となっております。

    平成24年から比較すると女性役員数は約4倍に増加しているものの、日本の女性役員比率は、欧米諸国と比較するといまだに著しく低いといえます。

  2. (2)女性役員比率を高めるべき理由

    日本では、少子高齢化にともなう人口の減少が深刻化しており、今後持続的に成長するためには、多様な人材を活用することが必要不可欠と考えられています。
    たとえばジェンダーの面で考えると、持続的な成長を達成するためには、男性だけでなく女性も活躍できる職場であることが望ましいでしょう。

    国連サミットで採択された世界共通の目標「SDGs」でも、ジェンダーに関する項目が盛り込まれています。
    そして近年では、企業内で女性が責任ある立場で活躍しているかどうかは、ESG投資などをおこなう機関投資家が考慮する材料ともなっています。つまり資本市場から評価を獲得するという観点からも、女性役員比率を高める必要があるといえるのです。

    また就活中の学生などにとっても女性役員比率は一つの指標になるため、企業は比率を高めることで優秀な人材を獲得できる可能性が高められます
    そのほか、取締役に女性がいる企業では、株価パフォーマンスが高く、金融危機があっても回復する力が強いといった傾向もみられます。女性が活躍する多様性のある組織では、リスクへの対応力が向上し、イノベーションの創出につながる可能性も指摘されているのです。

    さらに、女性活躍を推進する企業は、行政からの評価である「えるぼし」の認定を受けることによって、社会的な評価をも獲得できる可能性があります。

2、女性役員比率と「女性活躍推進法」

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下「女性活躍推進法」といいます)」では、一定規模の企業に、女性役員比率などを把握したうえで行動計画を策定することや情報を公表することなどを義務付けています。

  1. (1)女性活躍推進法の概要

    「女性活躍推進法」は、女性の職業生活における活躍を推進するために、国や地方公共団体、民間事業者に課される責務などを定めた法律です。

    常時雇用する労働者が301人以上である企業には、次のような義務が課されています。

    • ① 社内における女性の活躍状況を把握して、課題を分析すること
    • ② ①の把握・分析をふまえて行動計画を策定し、社内に周知し外部に公表すること
    • ③ 行動計画を策定したことを都道府県の労働局に届け出ること
    • ④ 女性の活躍に関する情報を公表すること


    企業が公表する女性の活躍の状況は、厚生労働省が開設している「女性の活躍推進企業データベース」にて、一元的に集約されます。したがって、機関投資家なども、データベースから女性の活躍に対する企業の取り組みを知って、投資先の判断材料にすることが可能となっているのです。

    行動計画を届け出ており取り組みが良好な企業は、申請をすることで、厚生労働大臣が定める「えるぼし認定」を獲得することができます。えるぼし認定がなされた場合には、認定マークを使用できるため、女性が積極的に活躍できる企業であると外部にPRすることが可能になります。また、公共調達や融資などで有利になるといったメリットも期待できるようになるのです。

  2. (2)101人以上の企業も義務化される

    現状では、労働者を雇用する労働者が300人以下の企業は、女性活躍推進法については努力義務が課されるのみです。

    しかし、令和4年4月1日からは女性活躍推進法の一部改正によって、義務化される対象となる企業の範囲が拡大することになりました。具体的には、常時雇用する労働者が101人以上になる企業も対象に含まれるようになったのです。

3、女性活躍推進法が企業に求める義務とは

女性活躍推進法が求める義務の内容について、具体的に解説します。

  1. (1)状況把握と課題分析

    女性活躍推進法では、状況把握と課題分析が要請されます。
    把握すべき項目としては、必ず把握すべき「基礎項目」と、必要に応じて選択する「選択項目」の二種類が存在します。

    基礎項目には、「採用者中の⼥性労働者の割合」「男⼥別の平均継続勤務年数」「残業などの平均労働時間」「管理職における女性の割合」があります。
    選択項目には「仕事上で女性労働者にも平等な機会が与えられているか」ということや「仕事と家庭の両⽴のための雇用環境が整備されているか」ということを示すための項目があります。

    これらの基礎項目および選択項目を通じて自社の女性活躍の状況を把握したうえで、課題を分析することが企業には求められているのです

  2. (2)⾏動計画の策定、周知、公表

    状況把握と課題分析の結果をもとに、計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込んだ行動計画を策定します。
    策定した行動計画は、見やすい場所に掲示したり電子メールで送信したりして、自社に周知しなければなりません。また、厚⽣労働省の「⼥性の活躍推進企業データベース」や会社のホームページなどに掲載して、外部に公表する必要があるのです

  3. (3)労働局への届出

    行動計画を策定した際には、「一般事業主行動計画策定届」を管轄の都道府県労働局に届け出る必要があります。
    届出の方法は、窓口に持参するほか、郵送や電子申請も可能です。詳しくは、管轄の労働局にご確認ください。

  4. (4)女性の活躍に関する情報公表

    女性の活躍に関する情報については、「女性の活躍推進企業データベース」や会社のホームページなどに掲載して公表することが求められます。
    常時雇用する労働者数が301人以上いる企業には、次の①と②からそれぞれ1項目以上選択して、あわせて2項目以上の情報を公表することが義務付けられているのです。

    なお令和4年4月からは、常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業にも情報公表が義務付けられますが、その際には①と②の全項目のなかから1項目以上を公表すればよいとされます。

    ① 仕事上で女性労働者にも平等な機会が与えられているかを示す項目

    • 採用における女性労働者の割合
    • 採用における男女別の競争倍率
    • 自社で働く女性労働者の割合
    • 係長級の女性労働者の割合
    • 女性管理職割合
    • 女性役員割合
    • 職種や雇用形態の転換における男女別の実績
    • 再雇用や中途採用の男女別の実績
      など

    ② 仕事と家庭の両⽴のための雇用環境が整備されているかを示す項目

    • 男女の平均継続勤務年数の違い
    • 約10年前に採用された労働者の男女別継続雇用割合
    • 男女別育休取得率
    • 1月あたりの平均残業時間
    • 有給取得率
      など

    それぞれの項目についての詳細は、厚生労働省のホームページなどで確認することができます。

4、まとめ

本コラムでは、女性の役員や管理職の比率を上げるべき理由と、女性活躍推進法が企業に求める義務について解説いたしました。

女性活躍推進法の一部改正によって、女性役員比率などを公表する必要がある企業の対象が拡大されます。義務を怠ったとしても罰則はありませんが、求職者や投資家にとっては、女性を役員登用するなど積極的に女性を活用していることを公表する企業の方が魅力的に感じられるでしょう。今後、役員や管理職の女性比率を高めることの重要性は、さらに増していくものと考えられます。

女性役員の比率を上げるための社内規則の改訂や、女性活躍推進法で求められている義務に具体的に対処する方法については、顧問弁護士が法律的な観点からアドバイスすることができます

ベリーベスト法律事務所では、全国に広がるネットワークを活かした、専門性の高く高品質な顧問弁護士サービスを展開しています。川越オフィスでも、企業法務のご相談に対応しております。まずは、お気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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